援助先からの手紙

2019年11月 ボリビア シスター立石からのお便り

 

10月、11月は、ボリビアにとって大変で、重要な時期でしたので、状況をお知らせしたいと思います。

 

10月20日に行われた大統領選挙の開票の混乱の末、2006年に就任した現職のエボ・モラレス大統領が再選されたため、与党を除く全国民が大統領の辞任と再選挙の要求をして全面無期限ストに入りました。平和的なデモはエスカレートし、一部が暴徒化し、けが人や死者も出て、交通機関の麻痺、休業、休校が3週間続きましたが、政府は動じませんでした。

 

この状況下で、最も被害を被ったのは貧しい人々、日雇い労働者、年金生活者、高齢者、また特に人の手を必要とする病人、養護施設の子供達、障害者でした。職員が徒歩や自転車での移動となり、時間がかかり疲労も激しく就労が困難になったからです。大人の手を必要とするオガールファティマ乳幼児施設は職員たちをどう確保するか?子供達が病気になったらどうするか?食料は?この大家族をどうやって守り養うか?

 

シスター達の心痛は大きいものでしたが、神を信頼してこの危機を乗り越えるため日々悪戦苦闘しました。幸い、不安や心配を抱えながらも職員が特別勤務体制で協力してくれました。市民委員会が発行した許可書を使って、施設の車で職員の送迎を試みましたが、抵抗運動の拡大のため通してもらえず、職員たちは4、5時間歩いたり、自転車を使ったり、2、3日泊まり込んだりしてくれ、その後、高い運賃の未登録のバイクタクシーを経費で雇い、二日勤務して二日休むという体制で、子ども達を守り抜きました。職員もシスター方も疲労と不安は大変なものでした。食料は高騰しましたが、なんとか確保できました。幸いな事にJOMASからのミルクがこの時に到着し、神様の計らいを感じました。熱を出す子どもが続出して心配しましたが、ボランティアの医師やご婦人、青年達が手伝いに来てくれましたし、食料品やおやつを寄付して下さる善意の方々にも助けられました。このような困難な状況にありながらも、市民もオガールファティマの誰も、不平を言わず民主主義を勝ち取る為に堪えました。

 

モラレス大統領は、共産国のキューバ、ヴェネズエラの支援を受けて、永久に政権を握る独裁者であろうとしましたが、今はメキシコに亡命しています。戦いのための武器を持たない国民は、ボリビアが本来あるべき立憲共和制国家を取り戻すために携帯とロザリオを武器として戦いました。カトリック教会は、平和的解決のため祈り支援しています。2020年1月に行われる大統領選挙が最大の焦点となるでしょう。

 

まだまだ多くの問題を抱えている状態ですが、一応民主主義を整えつつあるボリビアです。このように厳しい国の状況ではありますが、子供達はすくすくと育ち、数人は里親の元に引き取られ、そのあとには新しい子供達が入所してきました。現在55人の乳幼児を預かっています。子供達が幸せになる為に“施設ではなく家庭”という国の目標が達せられますよう祈るばかりです。

 

皆様のご家族に豊かな祝福がありますように、また、2020年が希望に満ち、躍進の年でありますよう南国ボリビアからお祈りしております。

お問い合わせ

ご不明なことがございましたら

お問い合わせフォームからメッセージをお送りください