援助先からの手紙

2015年3月 ボリビアからのお便り

ボリビアのシスター井出から、ボリビアとオガールファティマの現状についてお便りと写真をいただきました。
写真はページ下方にあります。ぜひご覧ください。

皆さん、こんにちは。私は南米・ボリビアで宣教活動をしている、イエスのカリタス会のシスターです。『ボリビア』と聞いて、直ぐ分かる方は少ないと思いますが、この国は『内陸国』、いわゆる海のない国で、ブラジル、ペルー、パラグアイ、チリ、アルゼンチンの5つの国に囲まれています。主な産業は農業で、広大な土地に大豆・麦・サトウキビ・米を生産し、また鉱物資源を含む天然資源が豊富な国として知られています。しかしボリビアは非常に貧しい国なので、それらの資源を国の財政源として利用する技術とお金がなく『南米の宝の持ち腐れNo1の国』とも言われています。またボリビアの雨季は、雨が降る時は半端ではない降水量の時もあり、アスファルトでない道では、大きな池の様になり、車も泥沼の道を用心しながら進まなければならない時もあります。しかしその後は、緑は青々しており、庭の花も太陽の光を燦燦と浴びて、南国ならではの美しい色の花々を咲かせます。

政治面においては、2006年からボリビア史上初の、先住民出身エボ・モラーレスが大統領として選出されており、政治姿勢は強硬な反米主義としても知られています。以前から、天然ガス・石油の国有化をめざしており、2006年には外国資本の企業に対して180日以内に新たな契約を更新し直すか、あるいはボリビアから撤退するかの選択を迫り、主要な天然ガス田にボリビア軍を派遣して接収を行いました。また、コカ栽培農家の出身という事もあり、コカ栽培の促進も主張している為、彼の反対者は『モラレスは、コカイン業者とつながっている』と主張する人々もいますが、モラレスは『あくまでも先住民の伝統的な生活必需品としてのコカ栽培を促進しているのであって、コカインの精製・密輸は許していない』としています。

さて、私たちは、この様なボリビア国、サンタ・クルス州において、乳幼児施設・オガール・ファティマで、70名の0歳から6歳までの子供たちと共に過ごしています。この施設は、教区司教から依頼され本会が引き受けてから、2015年で25年になります。その間多くの子供たちが様々な理由(病院・道端・空き室などへの置き去り、家庭内暴力・親のアルコール・麻薬中毒・服役中など)の為入所してきましたし、今もそれが絶える事はありません。この子供たちのほとんどは、6歳を過ぎるとお隣のサレジオ会の施設、または他の修道会が運営している施設へ移っていきます。私たちの施設の周りに、4つの児童養護施設(6歳から17歳くらいまで)がありますが、どの施設も一杯の状態です。

しかしボリビアの行政は、子ども一人当たり1日10ボリビアーノ(日本円にして120円前後)の食費としての定期援助を行うだけで、衣類、日用品費はおろか、病気になったときの通院費、交通費もないのです。そのせいもあって、先日ボリビアの新聞に『家族のいない子供たちは、施設の中で国からも放棄されている。』と言う見出しで、私たちの子供たちが載りました。それは、国が子供たちに対して、わずかな援助をしかしていないからです。私たちも今、かなり厳しい状況に立たされていますが、この新聞を通して更に古着、オムツ、おやつなどを持って来て下さる方が増えたように思われます。また、こんな私たちをこどもたちは、いつも澄み切った瞳と、満面の笑顔で支え、励ましているかの様です。

今私たちが頭を悩ませているのは、国が職員に支払う給料も支給していないにも拘らず、国は毎年、最低給料額を上げ、各施設、各会社に、年に2回のボーナスを支払うように命じていると言うことです。これまで、特定の有志ある方々から、給料の為の援助を受けてきましたが、毎年最低賃金が上がり、更にボーナスを支払う事を要求され、また職員が有休を取る時の代理人に支払うお金も必要な為、援助が追い付かなくなっている現状です。『職員に給料が払えなくなる』=『子供たちを見放さなければいけなくなる』状況なのです。

日本の施設の状況と比べたら、本当に考えられない、理解しがたいボリビアの現状だと思います。しかし、この子供たち一人ひとりが、家族によって抱えている厳しい現状をよそに、これからの人生の中で、神様から頂いている沢山の宝、タレントを発揮しながら成長し、社会の中で生きて行く事が出来る為にも、このオガール・ファティマの運営をこれからも維持していかなければと思っております。

この25年の間、沢山のシスターたち、協力者の方々が、神さまへの信頼とみ摂理に対するゆるぎない信仰を持って、これまで乗越えてこられた事に感謝し、またそれを引き継ぎながら、これからも子供たちの笑顔の中で、職員と共に『今、出来ること』を行っていきたいと思います。


乳幼児施設 オガール・ファティマ
シスター 井手 暁子