援助先からの手紙

2014年10月 フィリピンからのお便り

フィリピンのシスター有田からお便りが届きました。

*この文章は聖心会のホームページに出たものの日本語訳です。
*10周年の様子のビデオは下記の聖心会のホームページをご覧ください。
http://rscjinternational.org/news/sacred-space-montalban-philippines-10th-anniversary-sacred-heart-home

モンタルバン(フィリピン)の聖なる空間 - みこころの家創立10周年


この10年間、敷地内に響く子ども達の笑い声が私たちに喜びを与えてくれています。10年前にフィリピンのモンタルバンという小さな町で聖マグダレナ・ソフィア基金(SMSF)のプログラムの1つである「みこころの家幼稚園」が始まりました。マニラから車で1時間ほどのところにあるモンタルバンは聖心会の修練院があったところです。聖心会フィリピン地区では、貧しい子ども達が良い将来を築けるようにしっかりした幼児教育の必要性を感じ、既に存在していたSMSFの地域共同体開発のための青少年プログラムの一つとしてモンテッソーリ教育法を取り入れた幼児教育プログラムを始めました。

2014年8月24日にみこころの家幼稚園に関わった全ての人(子ども達、ユース・メンバー、保護者、ボランティア、ご支援くださっている方々、そしてスタッフ)と共にこの10年間に受けた恵みの感謝のうちに生命を祝いました。お祝いは小さな豆腐・豆乳工場と配達用のオートバイの祝別から始まりました。続いてヴィンセント会のダニー・ピラリオ神父様による子ども達にもとてもわかり易いごミサを捧げました。お説教は子ども達との対話形式で、神父様の「あなたにとってイエス様はどんな方ですか?」という質問に子ども達は答えていました。また、ごミサの中で子ども達はとても元気よく歌っていました。閉祭の歌「パナナグータン‐責任」は一人一人がお互いに神様の子どもとして責任があるということを表現した歌で、それはこの10年間のSMSFの経験をよく表していました。

ミサ後のプログラムは、一人のSMSFユース・メンバーが書いた詩「SMSFがモンタルバンの青少年にとって何であるのか」のグループ暗唱で始まりました。そしてマグダレナ・ソフィアの生涯が彼女の子供たちとの関わりに焦点を当てた形で演じられました。ミュージカル形式の創造的な劇には3歳半から20歳までの80人の子ども達とユースが出演しました。フィナーレの「Yesterday’s Dream」は振付と共に全員参加で歌われました。ソフィーのヴィジョンを想い、この10年を振り返りながら、SMSFの子ども達の歌ったその歌を聞くのはとても感動的でした。

SMSFは1970年代にフィリピンで経済的に厳しい状況にある学生たちの奨学金制度として始まりました。1991年には教育プログラムによる共同体の福音的変容の切実な必要性に応えて、数名の奨学生の支援を続けながらコミュニティー・ベース・プログラムを立ち上げました。みこころの家幼稚園(TMP)は2004年に12名の子ども達で始まりました。

年を経るうちに様々なニードが生まれ、それらに応えるよういくつかの呼びかけがありました。子ども達とその家族は自立すべく支援される必要がありました。みこころの家幼稚園の卒園生で、公立学校に通う子ども達の為に栄養のある給食付きの小学生補習プログラムも始められました。このプログラムは子ども達に学習習慣を身に着けさせること、様々な学習体験ができるようにすること、そして栄養の摂取を目的としました。2006年にはSMSFセンターが完成し、コンピュータを備えたコミュニティ図書室がオープンしました。このセンターの建物はJOMAS(海外邦人宣教者活動援助後援会)と聖心会総本部のソリダリティ・ファンドからの支援で建てられました。図書室の英語の本は海外の聖心学院や友人たちから寄付されました。みこころの家幼稚園は、貧しい人々にただ必要なものを与えるだけの支援のやり方を良しとはしません。そのため保護者達は定期的な保護者会への参加、保育費の支払い、給食づくりや掃除などを通して幼稚園の生活に関わらなくてはなりません。2007年にはSMSFは貧しい家庭が副収入を得られるように女性自立支援プログラム(サンパギータ)がスタートしました。製品はフェア・トレードの精神にのっとり、日本、フランス、ドイツで売られています。最も新しい栄養プログラムは2013年に始められました。豆腐・豆乳の生産は安価で栄養価の高い食物を子ども達に提供できます。このプログラムは地域社会にも安価で栄養価の高い食品を広めることも目指しています。また同時にこのプログラムは保護者が副収入を得る機会を与えることにもなります。

フィリピン地区の教育使徒職の特色の一つはネットワークと他の団体との協働です。SMSFは創設当時から日本の聖心の学校及び同窓会と繋がりがあります。それは単に寄付を通してだけではなく、聖心女子学院姉妹校合同フィリピン体験学習で高校生たちは毎年フィリピンを訪問しています。これは双方の関わりを深め、創造的な関わり方を作り出してきました。例えば、毎年、聖心の祝日には小林聖心女子学院の中学生はみこころの家幼稚園の子供たちの教材作りをしてくれます。東京聖心と小林聖心の小学生たちは女性自立支援プログラム‐サンパギータの女性たちの作った音楽袋や聖書カバーを使っています。そしてそれはみこころの家の子ども達の母親に収入を与えているのです。聖心の先生や卒業生の中には個人として、またはグループとしてSMSFを定期的に訪問し、教育活動を支援してくださったり、資金集めの活動をしてくださっている方もあります。私たちは聖心会の大切な使徒職である青少年のための教育を学校教育と学校以外の貧しい子ども達への教育活動のプロジェクトとの協働で表現できることをとてもうれしく思っています。これは相互関係によって双方の成長を促していると感じます。

それに加えて、日本、ドイツ、スイス、スコットランド、アメリカ、フランスとニュージーランドからの長期または短期のボランティアたちもみこころの家のために来てくださいます。また、聖心会以外の修道会や宣教会と同様に聖心会の他管区との協働もあります。日本、ドイツ及びスイスからの長期ボランティアは生活の中で様々なチャレンジを抱えた子ども達に寄り添ってくれます。ボランティアたちの子ども達への優しさとケアは非常に具体的で、私たちはボランティアたちに心から感謝しています。

過去10年間、みこころの家は沢山の素晴らしい、神様を見るような体験を沢山しました。それと同時に、2009年に大被害をもたらした台風オンドイやいくつかの家族の虐待など厳しい現実も体験しました。これらの光と影の体験の中で、SMSFはここにやってくる人々の出会い、成長、友情、癒しと和解の聖なる空間であったといえるでしょう。この聖なる空間で、SMSFに来る人々は人間の善意ある心と成長へと招く現実を通して愛の神と出会ってきました。この聖なる空間で、人々は国境を超えた友情を築き、癒され、和解を体験するのです。SMSFに来た人たちが、一度この聖なる空間を去って行っても、私たちは祈りのうちに彼らと一つになっていると感じます。そして新たに他の人たちがやってきて連帯の心を表す時、私たちの絆は広がっていくと感じます。

数年前、SMSFの子ども達の母親の一人が、「あなたにとってSMSFとは何ですか?」と尋ねられました。彼女は、「SMSFは貧しい人々が生きる中で、新しい希望を持たせてくれるかけ橋です。私はSMSFでは沢山の中の一人とは感じません。むしろ、家族の一員として愛されていると感じます。」と答えました。

現在、SMSFには80名の幼児・児童と30名の中学生から大学生、そして彼らの保護者達がいます。過去10年間にSMSFのスタッフから、そして世界中のボランティアから、友人たち、そしてご支援くださる方々から受けたすべての恵み、サポート、励ましに感謝しています。私たちは将来に希望を見出すのが難しい人々への新しい希望のかけ橋となり続けたいと願っています。

聖マグダレナ・ソフィア基金

代表 有田由佳

Yesterday’s Dreamを歌う子ども達

10周年感謝ミサ

小林聖心からのお祝いのプレゼント